私の仕事がなくなるとき|仕事の価値、本質、業界の未来像を浮き彫りにするメディア

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今後なくなると言われている職業10選

人工知能やロボット技術が高度に発達しつつある現在、人間の職業は大きく変わってしまうのではないかと言われています。

これまで、工場でのルーティーン作業程度しか対応できないと思われていたロボット機器も、機械学習やディープラーニングという革命的な人工知能の仕組みが編み出されたため、将来的に人間と変わらないポテンシャリティを持つということが予想されています。ディープラーニングとは、人間における学習を司る神経細胞を模した仕組みを使って、人工知能自体が物事を理解し学んでいくシステムです。これにより、人工知能はまたひとつ人間に近づいたのです。

人間のように学び、考え、作り出す人工知能が実現すれば、単純労働どころか管理職クラスの仕事も担うことができるかもしれません。
実際に作曲したり絵を描く人工知能や、外科手術を行うロボット、チェスや将棋で名人をも打ち負かす人工知能までもが出現してきています。

こうした状況を受けて、英オックスフォード大学の人工知能研究者マイケル・A・オズボーン教授は、人間社会の702種の仕事のうち、90%はAIに置き換えられると発表して、社会に衝撃を与えました。
またマッキンゼー・グローバル・インスティチュートが発表したレポートでは、世界で1億4千万人近くの知的労働者が職を奪われるとしています。
日本でも、野村総研が、国内労働人口の49%は、20年以内に人工知能やロボットで置き換えられるだろうというレポートを発表しました。

こうした状況を受けて、今回の記事では、私たちの身近な職業の中から実際になくなってしまうかもしれないものを特集してみました。

消えるかもしれない10の職業

レジ係

イオンなどの大型スーパーでは、無人レジがすでに実現しています。従来からの有人レジに並んで、自分で商品のバーコード読み取り操作をして、表示されたお金を入れて精算することができるのが無人レジです。
ただし、今のところは、機械が苦手な高齢者や女性はやはり有人レジのほうを選ぶことが多いようです。そうした人々が使用する際の手助けや説明のためにスタッフが待機しています。バーコードの読み取りに不具合が生じることもあり、読み取りを行わずに精算を終えようとするなどの不正を防止するためにも、今のところはスタッフは必要なようです。
これらの問題もいずれクリアされ、近い将来には無人レジが主流となるかもしれません。顧客対応も遠隔の操作で対応ができる仕組みがありますから、レジ係の人件費より機器導入が安価になれば、瞬く間に普及するかもしれません。

ネイリスト

いくつかのネイルサロンでは、指を中に入れれば爪の加工をしてくれる機械が導入されています。
簡単なポリッシュ技術程度ならば簡単に置き換えられていくでしょう。
人工知能が内蔵され、凝ったデザインやアート風のネイリングが簡単に行えるようになれば、間違いなく人間のネイリストの強力なライバルとなることでしょう。顧客の側にも、機械でパッと手早く済ませたいというニーズがあるかもしれません。
カリスマ美容師のように、その人にしかないデザインセンスや技術があったり、ネイリストとのコミュニケーションに価値を感じている顧客が多い場合以外は、ネイリストの仕事は人工知能に置き換えられてしまうかもしれません。

バーテンダー

現在でも、お店の裏側では、ドリンクバーやミキサーが大活躍しています。調合の際の量や配分は決められた目安がありますから、最適な作り方を機械が習得できるようにすれば、どんなカクテルや水割りも対応できます。わざわざバーテンダーを雇う必要はなくなるかもしれません。
人情の機微を知りつくしたバーテンダーと会話を楽しみたい、お洒落でカッコいいバーテンを客寄せにおくなどという場合は、バーテンダーの需要は存続するかもしれません。

医者

まさかと思う人もいるかもしれませんが、すでに本職の医者より高いパフォーマンスを示す人工知能が存在しています。

IBM製の人工知能「Watson」は、白血病での誤診を見抜いてより正しい治療法を提示し、患者の命を救いました。
米シェイク・ザイード小児外科研究所と米ジョンズ・ホプキンス大学の人工知能を使った外科手術の実験では、専門医より高いレベルの施術となりました。
医療ロボット大手のIntuitive Surgical社の手術ロボット「da Vinci」は、人間では不可能な角度からの鏡視下手術を可能にし、人間の手よりも柔軟に細かく鉗子を操れました。
また人間の臨床と違い、遠隔や非接触での手術を可能にするなど、手術そのものに新しい可能性と、術後の経過などにも優るところを見せています。

人間による医療行為は、たとえそれが万に一つだとしても、誤診や手術ミスを避けることができない面があります。また長時間の手術は体力を奪います。女性の医師にとっては体力的にきつい作業もあります。
しかし、人工知能はあらゆるデータを駆使することによって、誤診のリスクを最小化することができますし、ロボットは長時間の手術にも耐えられます。もちろん、体調によるムラなどもありません。
医療行為すべてを人工知能が代用するところまではいかなくても、医師が補助的に人工知能を手伝うだけの存在になったり、看護師さえいれば手術ができてしまうようになってしまうかもしれません。
僻地では、産婦人科医などの慢性的な不足が社会問題にもなっています。人工知能による医療はそうした問題を一気に解決してくれる可能性があります。

印刷業者

今現在でも、従来のアナログの印刷業はデジタルとの戦いを強いられています。
印刷業が右肩下がりになっている原因は、市場の飽和とともに電子書籍や電子媒体が理由に挙げられます。

電子出版では、当然のことながら印刷業の作業が省略されてしまいます。印刷の前段階である入稿、版下、デザイン、装丁なども不要になります。
電子書籍は持ち運びが容易ですから、紙の印刷による本や週刊誌も大きく発行部数を落としています。
アマゾンを初め、個人で直接電子書籍を購入・販売できるプラットフォームも充実してきています。電子書籍リーダーも安価で使いやすいものがいくつもあります。インターネットを含めてデジタル面でのインフラはいつのまにか驚くほど充実しているのです。

お金がかかるので敷居が高かった自費出版も、電子書籍という形態ならほぼ無料でできるようになりました。今や、無名の個人だけでなく、著名人も電子出版する人が増えています。印刷業者がいなくても、出版はできるのです。

古紙価格の変動に供給が左右され、パルプの資源問題もある印刷業に比べて、デジタルはより自由です。最近では小学校からタブレットを配る学校も増えて、電子ペーパーの可能性も取りざたされています。
消滅はしないにしても電子的な処理がメインになると、廃業に追い込まれる業者もかなり出てしまうはずです。

集金人

これはすぐに想像できる人も多いでしょう。多くの決済はすでに銀行引き落としになっています。クレジットカード、ウェブマネーなどネットを通じた支払いも定着し、いちいち訪問して集金して回らなければならないのは、過疎地や高齢者などの場合がほとんどです。

税なども電子化されるといった政府方針も明らかにされており、今やネットを通じて寄付や海外支払いもできるレベルになっています。ネットのインフラは今後も充実していく一方ですから、効率の観点からも、人力で集めるのは町内会費ぐらいになるかもしれません。

検針人

一部は、スマートメーター(ネットで月の電気使用量を確認できる機器)がすでに普及しています。こうした機器がより安く使いやすく、ネットなどと連動すると、検針の仕事もなくなるかもしれません。
メーター数値の読み取りなどのデータ管理は、最もデジタル化しやすい分野と言えます。機器の置き換えが進めば、人間による現場の読み取りは消えていくでしょう。

受付、チケットのもぎり役

駅の改札が無人になってから、すでにかなり長い年月がたっていますよね。改札で鋏を鳴らしていた駅員がいたことを知っている人はもはや少数派です。こうしたことがあらゆる面に拡大すると思われます。
今はATM全盛の世の中です。切符は自動でパンチ・印字され、スマートフォンの機能を使って改札も通れます。各種遊戯場の入場券も自動販売機が増えていますから、受付やチケット処理は人工知能の担当になっていくでしょう。

税理士、会計士

海外の会計ソフトの走りであるインテュイット社の「クイッケン」はベストセラーとなり、会計士の口を減らしたといわれます。

日本もクイッケンを元にした「弥生会計」などのような会計ソフトの人気は高く、最近では確定申告も、税務署のサイトで必要事項を記入するだけで行うことが可能です。
多くの人が使っているエクセルは高度な関数計算にも対応していますから、使いようによっては、個人でも会計士レベルの仕事ができるようになったのです。
こうした会計関係のインフラが充実してるのに加え、人工知能がさらに発達して利用が容易になれば、税理士も会計士も安泰ではいられないでしょう。

ガソリン給油スタッフ

セルフスタンドがここまで普及した現在、これは言うまでもないかもしれません。有人スタンドでも夜間はほぼセルフになるところが多いようです。
かつてのガソリンスタンドでは、研修を済ませた従業員しか給油作業には携わることができませんでしたが、今や給油をしているのはお客さん自身なのです。
人間のスタッフはタイヤ交換や整備に比重が移り、給油はあまり重視されません。
将来的にさらに自動化が進み、遠方からの管制も可能になれば、無人スタンドが主流になるでしょう。

まとめ

「90%以上の仕事は消滅する」といった話を聞くと、「自分の将来の食いぶちは大丈夫だろうか」などと心配になってしまう人は多いでしょう。しかし、職業がなくなる分だけ、「新しい市場」が生まれてくるということも忘れるべきではないでしょう。

例えば、「自動車」というものを例に考えてみましょう。
1986年に発明された自動車が20世紀に入ってから一般に普及したことによって、それまでの移動手段であった馬車、日本では駕籠や人力車といったものはほぼなくなり、それに関係していた御者や馬丁、車引きなどといった職業は消滅しました。そのように、かつてあったけれども今は消滅してしまった職業というものは数多くあります。
しかし同時に、自動車産業という巨大な産業が生み出され、新しい雇用も作り出されたのです。
自動車の部品製造だけで世界規模の巨額なお金と人が動きます。それだけでなく、自動車免許に関係する仕事、修理工場、タクシー、レンタカー、道路事業など、自動車の影響力は社会の隅々にまで波及して、数えきれないほどの職業を生んでいます。

実際に「職が消えてしまう」と警告する学者たちも、人工知能関連の産業は10兆円規模の市場に成長するのではないかと予測しています。

また、ロジックで対応しにくいデザインやアート関係も消滅することはないかもしれません。
人類がこうした新しい潮流にうまく対応できれば、それほど悲観するような状況には陥らないのではないでしょうか。